法曹界用語?②

先週に引き続き、「法曹界用語」? 第2弾!

今日ピックアップするのは、「単独事件・合議事件」「判事・判事補・特例判事補」「右陪席・左陪席・裁判長」です。

 


1.「単独事件・合議事件」

地方裁判所が第一審として裁判をする場合に、裁判官が1人だけで裁判を行う事件が「単独事件」、3人の裁判官で合議体を組んで裁判を行う事件が「合議事件」です。

 

2.「判事・判事補・特例判事補」

大体、任官して10年を過ぎると「判事」になることが多く、それまでは「判事補」と呼ばれます。
「判事補」は合議事件しか扱えませんが、任官して5年を過ぎると「特例判事補」になることが可能です。
「特例判事補」になると、「判事」と同様に単独事件を扱うことができ、1人で裁判をすることが可能になります。

 

3.「右陪席・左陪席・裁判長」

合議事件で、3人の裁判官の中央に座っているのが「裁判長」です。
この裁判長から見て右側に座っているのが「右陪席」、裁判長から見て左側に座っているのが「左陪席」です。
傍聴席から見た右・左とは逆になるので注意が必要ですね。

刑事事件の流れ

Q. 姉が万引きで警察に逮捕されました。今、警察の留置場にいるようなのですが、今後の流れはどうなるのでしょうか?

 

 

A. 警察に逮捕された、それだけで不安ですが、これから先どうなるのかが分からないと尚更不安になるものです。
今日は、警察に逮捕された後、裁判所で判決を受けるまでの一般的な流れについてご説明したいと思います。
なお、少年事件については流れが異なりますので、今日のご説明は少年事件以外に当てはまるものとお考え頂ければと思います。

 

警察による逮捕

 ↓ 48時間以内

検察官への送致(または釈放)

 ↓ 24時間以内(かつ逮捕から72時間以内)

勾留(※1)(または釈放)

 ↓

 ↓ 最大10日 

 ↓ 場合によって勾留延長されるとさらに最大10日(合計して最大20日まで)

 ↓(法律上、20日以上にすることも可能な規定がありますが、罪が限定されており、ほとんどないと考えて良いと思います)

 ↓

起訴(起訴しない場合釈放)(※2)

 ↓

 ↓ 起訴後は、要件を満たせば、裁判所により保釈が許可されることもある

 ↓

裁判期日(期日の回数は事案による。公判前整理手続があることも。)

 ↓

判決

 ↓

場合によって控訴・上告(控訴がなければ判決確定)

 

1:「勾留」とは、簡単に言えば、警察の留置場などで身体を拘束されることを意味します。

※2:「起訴」には、通常起訴のほかに、より簡易な裁判手続も用意されています。略式起訴や、起訴とともにする即決裁判手続の申立などがこれに当たります。もっとも、利用できる要件は限定されており、いずれも比較的軽微な事件で利用できる制度となっています。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上が一般的な流れになります。

特に身体を拘束された場合には、上述のような時間制限もありますので、早めに弁護士に相談することが重要です。

法曹界用語?①

裁判の傍聴に行くと、よく分からない言葉が聞こえてくることがあります。弁護士と話していても、弁護士が意識せず使った言葉が、一般の方には聞き馴染みがないということも。

今日は、そんな「法曹界用語」?について、いくつかピックアップしてご説明したいと思います。

 


1.「しかるべく」

裁判期日において裁判官から意見を聞かれた時、特に反対の意見はない場合に、裁判官にお任せしますという意味で使います。

2.「差し支え」

裁判期日の日程調整をする際に、その日のその時間は都合が悪いですという意味で使います。

3.「お受けできます」

差し支えの対義語です。その日その時間であれば期日に参加できますという時に使います。

4.「直送」

裁判で提出する書類を相手方に直接送ること。
直送が可能な書類と認められていない書類があるので、弁護士や事務員は注意が必要だったりします。

5.「請書(期日請書)」

特に裁判の初回期日を決める場合に使うことが多いです。
電話やFAXで日程調整がされ、期日が決定すると、裁判所側から「請書を出して下さい」と言われます。
決定したその日その時間に期日があるということで承諾しましたという意思を表す書類で、これを裁判所に提出します。

 

顧問弁護士の料金について

弊所に顧問弁護士を依頼された場合の費用(料金)について、簡単にお知らせ致します。

 

弊所では、原則として、5万円~10万円程度(いずれも税込)を月額料金として想定しております。

顧問弁護士に依頼したい仕事としては、
・会社の業務に関する法律相談や
・出張法律相談(会社に赴き、業務に関する相談をお受けするもの)、
・契約書チェックや契約書作成、
・社内研修   など
が想定されます
月額料金との兼ね合いで、これらの業務をどこまで含めるか、原則的なプランは用意しております


とはいえ、会社様によって、状況やご要望はそれぞれかと思います。
したがって、対応させて頂く業務内容は、会社様のご希望もお伺いしつつ、料金との兼ね合いも考えながら、ご相談の上、柔軟に検討させて頂きます

月額料金につきましても、5万円~10万円を原則として想定してはおりますが、会社様のご要望しだいで、それを超える額とすることも可能です。
当然、対応できる業務内容も多くなります。


まずは会社様の状況を伺えればと思いますので、業務内容のご要望も含め、ご相談頂ければと思います
先程例として挙げた業務以外にも、ご要望があればご相談下さい。

弁護士の転職事情

前回のコラム(こちらを参照)に引き続き、今回は、弁護士の転職事情について少しお話ししてみたいと思います。

 

一般的なサラリーマンが「転職」というと、「前の職場で何かあったんじゃないか?大丈夫か?」といった視線を浴びることも多いのではないでしょうか。
最近は転職も徐々に増え、このような視線や考え方も少しずつ変わっていると思いますが、それでもこういった視線はまだ存在するのだろうと思います。

 

では、弁護士の場合どうかというと、転職は比較的しやすい業界だと思います。

介護や結婚による転居といったやむを得ない理由の場合はもちろん、それなりに経験も積んだので、これからは事務所に縛られることなく自分のペース、自分の考え方で仕事をしたいなど、一般的なサラリーマンではちょっと考えにくいような理由でも、転職は可能のようです。
他にも、別の事務所の弁護士と仲良くなり、ぜひ一緒に仕事をしたいということで、その事務所に転職することもあると聞きます。

 

ここまで転職に対して柔軟な理由は、おそらく、弁護士が自由業、かつ、資格制の仕事だからだと思います。

周りの弁護士に話を聞いてみると、「自由」を求めて弁護士になったという人が多く、弁護士全体の傾向としても、事務所やボスに縛られたくないという人が多いと感じます。
その結果、自由に転職する(事務所を変わる)ことを容認しやすい空気があるのでしょう。

また、弁護士は資格制の職業ですので、必要最低限の能力については、一応のお墨付きを得られているとも言えます。
この点でも、転職弁護士を受け入れやすい傾向があるのではないかと思います。

破産に関する勘違い~破産すると戸籍に記載される?

Q. 生活苦で借金がかさみ、返済できなくなってしまいました。
自己破産も考えていますが、破産すると戸籍に記載されると聞きました。本当に記載されるのなら破産したくないのですが・・・

 

A. 自己破産しても、破産の事実が戸籍に記載されることはありません

 

これは自己破産に関するよくある勘違いの一つです。

自己破産したことは、官報には掲載されますが、戸籍や住民票に記載されることはありません。そして、通常、官報を読んでいるという人はかなり少ないです。
破産なんて恥ずかしいからしたくないという方がよくおられますが、全く知らない人にまで破産の事実が分かってしまうことは少ないですから、恥ずかしい等と尻込みせず、ご相談されてみてはと思います。

 

他にたまに耳にする勘違いに、一切の仕事ができなくなるという勘違いもあります。

たしかに、破産手続が開始すると、免責決定が確定するまで、一定の職業にはつけなくなります。しかし、一切の職業ができないわけではありません。
「破産すると仕事をやめなくてはいけないんですよね」と聞かれることがたまにありますが、それは限定的だということを知っておいて頂ければと思います。

 

以上のとおりですので、あまり心配しすぎず、まずは弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。

弁護士(司法修習生)の就活事情

法曹界を目指す学生にしか需要がなさそうですが、ふと思い立ったテーマ。弁護士になる前の司法修習生の就活事情について、今日はつらつらと。

 

一般企業への就職を目指す場合、就活が始まると、会社説明会や合同会社説明会に行き、希望の職種や会社を固め、エントリーシートを出し、試験や面接を受けて内定をもらうというのが、一般的な就活の流れだと思います。就活が始まる前年などにインターンを受けることも最近は多いとか。いずれにせよ、このような流れで就職先を決める学生がほとんどだと思います。

 

では、司法修習生が弁護士事務所への就職を目指す場合どうかというと、様子がやや異なります。

もちろん、司法修習生の多くが、先程述べたような就活と同じような経験はしていると思います。
弁護士事務所でも事務所説明会が催されますし、各地の弁護士会ごとの合同就職説明会が催されることもあります。
そして、希望の事務所に履歴書などの書類を提出し、面接を受ける、こういう経験をしたことが一度はある人が多いと思います。

しかし、実際に弁護士として就職した人に話を聞いてみると、これ以外の方法で就職先が決まったという方がそれなりにいます。
修習地で、指導を担当して下さる弁護士に事務所を紹介してもらったり、修習地で開催される食事会などで知り合った弁護士の事務所に就職するといったパターンです。
弁護士事務所の方も、公式には採用の募集をかけていないが、いい人がいたら採用しても良いという事務所が一定数存在するのです。

多くの弁護士事務所は弁護士の人数がさほど多くないため、一緒に長時間仕事をできそうか、人となりを見極めたいという要望が大きいのかもしれません。
また、弁護士は対人的職業なので、その意味でも、修習での実際の仕事ぶりや食事会等での人となりを良く見て決めたいという要望もあるのかも。

とはいえ、これも、司法修習生全員が日本全国どこかの修習地に配属され、そこの弁護士や弁護士事務所とふれあう機会がある(事務所側も、必ず一定数の修習生とふれあう機会がある)法曹界ならではの就活スタイルだなあと思います。

 

不倫慰謝料請求の流れ

Q. 夫が不倫をしていることが分かりました。相手の女性に慰謝料を請求したいのですが、手続はどのように進むのでしょうか?


A.
不倫慰謝料請求(今回は相手女性に対する請求を想定してご説明します。)を弁護士に依頼された場合、多くの場合、以下のような流れで進みます。


①資料収集

慰謝料請求をする前提として、まず、請求のための資料を収集する必要があります。
最低限、以下のような資料・情報は集めておく方が良いでしょう。

・不倫の事実が分かる証拠

→不倫と認定されるためには、肉体関係を持っていることが必要となります。したがって、2人が肉体関係を持ったことが分かる証拠が必要です。
ときに、相手方が自ら不倫の事実を認めることもありますが、相手方が不倫を認めない場合でも対応できるよう、資料は集めておいた方が良いでしょう。
肉体関係の頻度や不倫の期間等が分かる証拠も集めておくと良いでしょう。

・相手方の氏名や連絡先・住所等

→相手方の名前や連絡先・住所など、何らかの形でコンタクトが取れることも必要です。


②交渉

資料が収集できたら、いよいよ慰謝料請求について示談交渉を行います。
まずは、相手方の住所に弁護士から書面を送付するのが通常です。弁護士が付いたことを知らせるとともに、慰謝料を支払って下さいと通知する内容が多いでしょう。
例外的に、住所が不明の場合などは、相手方の電話番号に直接連絡するといったこともあります。


③訴訟(裁判)

示談交渉を行っても、相手方が不倫の事実を認めないとか、不倫の事実は認めたものの慰謝料額について争いがある場合などは、裁判を起こすことがほとんどです。
裁判所に、不倫をしていた事実、それによって被った損害等を主張し、不倫の事実の存否や慰謝料額等について判断を求めます。裁判途中で和解という形で結論が付くこともあれば、判決という形で裁判官の判断が下されることもあります。
判決に納得できない場合は控訴・上告等の手続をすることになります。


④執行

相手方の支払額が確定したが、約束の期限までに支払わない場合は、強制執行という手続をすることになります(※強制執行の前に裁判等が必要となる場合もあります。)。
ごく簡単に言えば、相手方の資産(預貯金や不動産など)から、約束した支払額を強制的に回収する手続です。場合によって給与などを差し押さえることもあります。
もっとも、相手方の資力次第では、強制執行しようにも差し押さえる財産がなかったり、強制執行をしてみたが空振りに終わったりということもあります。このように相手方の資力が乏しい場合等は、なるべく任意に支払を受けられるよう、分割払いにするといった工夫も検討することになります。

弁護士バッジのあれこれ

今日は、少し肩の凝らないお話を。


目にしたことがある方も多いでしょうか、弁護士バッジ。金色や銀色に光って丸い形で、「あ、弁護士だ!」とすぐ分かってしまうあのバッジです。

この弁護士バッジ、外側にひまわり、中央に天秤(はかり)が描かれています。ひまわりは自由と正義を意味しているそうで、天秤は公正を表しています。


さて、今日話題にしたいのは、この弁護士バッジの裏、スーツに止める部分がどうなっているかということ。今はどうか分かりませんが、私が弁護士になった頃のお話です。

これ、バッジを最初に渡された時は、ねじのような形状で、スーツの左襟にある穴に通し、蓋(?)を回して止めるような形になっています。

しかし、このねじ式、特に女性にはかなり不便です(少なくとも私は不便を感じました・・・)。
女性はスーツばかり着るわけではありませんし、さらに言えば、スーツでさえバッジを付ける穴が開いていないことも多く、ねじ式だと装着できないのです。


ではどうするかというと、このねじ状の部分をピン状などに変更することができます。
変更というと簡単に聞こえるかもしれませんが、そうでもありません。渡される時は全員、一旦はねじ式を渡され、後で変更という形になるため、しばらくバッジがない状態で仕事をしなければなりません。
弁護士の身分証を作成できるので、不便は大きくないと言えばそうですが、やはり弁護士登録して希望と熱意に満ち溢れている時期にバッジがないのは少し悲しい。
おそらく弁護士登録申請から実際の登録・バッジ渡しまでの時間的な制約からこのような制度になっているのだと思いますが、何か良い方法がないものか・・・

 

 

当番弁護士ってなに?

Q. 当番弁護士という言葉を聞いたのですが、どんなことをする弁護士ですか?

 

A. 「当番弁護士」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?
テレビドラマで刑事事件を担当する弁護士は見たことがあっても、「当番弁護士」という言葉は聞きなじみがないかもしれません。


⑴当番弁護士の概要

「当番弁護士」とは、逮捕された被疑者等から要請があった場合に、最初に接見に行く弁護士のことです(すでに知っている弁護士がいて、その弁護士を呼んだ場合は別です)。
逮捕された後最初の1回だけ無料で呼ぶことができます。
日にちごとに担当の弁護士が決まっており、当番制となっているので、「当番弁護士」と呼ぶのだと思います。

⑵当番弁護士の任務

当番弁護士は、連絡を受けると、警察署などに行き、逮捕された被疑者と接見します。
そこで、黙秘権などの権利や今後の手続の流れ、取り調べを受けるにあたり注意すべき事項などを説明します。
家族に連絡をとってほしいといった希望がある場合は、事案によりますが、連絡をとる場合もあります。

 

特に初めて逮捕された場合などは、憔悴している方も多く、初めての取り調べにどう対応してよいのか困惑・混乱している方も多くいらっしゃいます。弁護士を呼んで、気持ちを落ち着け、自分の状況や認められた権利等を理解して、取り調べ等に臨むことが重要です。弁護士とは立会人なく接見することができますから、まずは落ち着いて話をすることが大事です。

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