公正証書遺言のメリット
Q. 遺言書を作るなら公正証書遺言が良いと聞いたのですが、どんなメリットがあるのですか?
A. 公正証書遺言とは、公証人に依頼し、公正証書として作成してもらう遺言のことです。
費用面の問題や事案にもよりますが、一般的には、遺言を作成する場合、公正証書遺言にすることをお薦めしています。
公正証書遺言には、以下のようなメリットがあるためです。
①遺言無効などの主張がされる確率が比較的低い
一応、公証人が遺言者に直接確認をした上で作成されるため、遺言書が真意によるものでない等の主張がされにくい傾向にあると感じます。本人確認も行われますので、本人が作成したものかが争われることは少ないのではないでしょうか。
もっとも、公正証書とはいえ、その遺言が100%有効であることを担保するものではないので、遺言の有効性について争う余地はありますし、実際争われることもありますが、確率としては低いように感じます。
②公証人は法律に関する専門的な知識を有しているため、形式面だけでなく、内容面でも適正な遺言ができることが多い
③公証人が原本を保管しているので、偽造・変造や破棄・隠匿のおそれがない(もちろん紛失する心配もない) (※新しくできた自筆証書遺言保管制度をのぞく)
④相続人が遺言書を探すのが容易
公正証書遺言の場合、公証役場に依頼し、遺言検索システムで検索してもらうことができます。自筆遺言のように、押し入れにあるのか、神棚にあるのか・・・と探す必要はありません。
もっとも、新しくできた自筆証書遺言保管制度では、相続人などが遺言書保管所(保管所として指定されている法務局のこと)に「遺言書保管事実証明書」という書類の交付を請求できます。これにより遺言書を検索することができるのです。したがって、この制度を利用していれば、遺言探しも容易になると思われます。
⑤検認などの手続が不要
自筆証書遺言の場合、まず、家庭裁判所において「検認」という手続を経ることが必要です(新しくできた自筆証書遺言保管制度を除く)。
公正証書遺言では検認が不要のため、面倒な手続をしなくてすみます。
公正証書遺言には以上のようなメリットがあります。
なお、ここまでにも何度か出てきましたが、今般新しく、自筆証書遺言保管制度という制度ができました。これにより、上記のメリットのうち③~⑤はカバーすることができると思われます。しかし、①、②については、なおカバーできません(①のうち本人確認については、自筆証書遺言保管制度でも、保管申請の際に本人確認が行われるようです。)。
事案にもよりますが、一般的に公正証書遺言のメリットが大きい状況は変わっていないと言えるでしょう。